秋のドッペルゲンガー

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Eternal Quest

2010/01/01(金) 00:00:00

Eternal Quest第1話~第12話はこちらをクリックしてください! 

他の創作小説(ほとんど短編です)はこちらをクリック!

  現実が目の前にあった。
  今まで現実から逃げてばかりいた。
  逃げられない現実からも逃げ続けていた。
  逃げる……これが人生のキーワードだった。

  逃げていても何とかやっていけた。
  少なくとも生きていくことはできた。
  だからこそサラリーマンだった俺は逃げ続けていた。
  逃げ方も狡猾さを増していき、注意深く人間観察でもされなければ俺の狡さは誰にも見抜けなかっただろう。
 そんな生活に満足していた自分がいた。

 ヌー渓谷を目前にしてそんなことを考えていた。
 隊列を離れ、ひとり荒涼たる岩壁に立っていた。
 なんていう光景なんだ。
 自然が死に絶えた大地。
 命あるのもを哄笑するかのように冷たい風が吹き荒れている。
 
 日は暮れて、砂塵が俺の体にあたっては跳ね返る。
 EQの紋章が描かれた深紅のマントが風になびいている。
 右手には、勇者だけが持つことを許されるブラッドソード。
 左手には……
 サラリーマン時代に使っていたトランクを握っていた。
 なぜだろう。
 現実と非現実の狭間にいるのだろうか。
 そもそも俺にとっての現実とは……

 トランクの中には、契約書類、事業案内、営業報告書など、まさしく営業職のサラリーマンが必要とする書類が入っていた。
 俺は、トランクを開き、荒涼とした大地に吹く風に書類を乗せ捨て去った。
 現実の残滓が風にはためき、遙か遠くへ消えていった。
 
 
 目の前の現実からは逃げることができない。
 現実を迎え入れる、いや俺自身が現実を創っていくんだ。
 そう、俺こそが現実なのだ。

 さっそく現実ってやつが目の前に現れた。
 巨大な六角獣シザーズの異形が岩陰から姿を見せた。
 牙をむき、おぞましい咆哮をあげている。
 左手のトランクは盾の代わりになってくれるだろう。
 トランクの蓋を閉めシザーズに向かっていった。

 この世界での現実は俺が創るのだ。
 その現実から、けっしてお前を逃がしやしない。

 既に俺はシザーズの死臭を嗅ぎ取っていた。 

 
 Illustrated by 煮炊王 

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【注釈】初めての方は、いきなりトップページにこんなお話があって「なんなんだろう?」と思われるはずです。そこでちょっと余計な注釈を…これは以前gooブログで連載していたもので一応ヒロイックファンタジー!を目指しています。筋書きは決まっています。簡単に書くと、駄目サラリーマンが、パソコンゲームの世界に入り込んでしまってそこで活躍し王女を助ける…そして…っていう単純なものです。
既に完結しています。
なお、このイラストはgooで交流があった方に書いていただいたものです。自分の作品よりもこちらのイラストを気に入ってます。【余計な注釈おわり】
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コメント
まってます!
実は、続きをまっているのです。
でもでも。あせってはダメ。
じっくり、ゆっくり書きましょ!
らんららも最近、書きにくいときがあって。ああ、これをスランプ?というのね。と実感しました!
でも、面白いショートをどんどん書いているドッペルさんは、すごいです!
尊敬です!
また来ます!
URL|らんらら #-|2006/08/12(土) 12:32 [ 編集 ]
ありがとう!
  読んでくれたのですね!
  ありがとうございます。
  連載ものを、らんららさんは多数書いてますね。私は、連載していると最初の話が自分でもわからなくなったりi-282、前に書いた伏線を忘れたりi-282、あるいはお話しが暴走したりと、ひどいもんです;;
 ぜひ、この作品は完結したいんですけど…・
URL|ドッペル #-|2006/08/12(土) 20:44 [ 編集 ]

小説書いている人は沢山いますが、
冒頭から「ん!」と引き寄せられる上手い文章の使い方の出来ている人は少ない。
ダメサラリーマンがゲーム世界に取り込まれるという着想も、なかなか面白いですね。
続きが気になる作品を書ける数少ないネット作家さんの一人として尊敬します!
頑張って下さい(*゚▽゚)ノ
URL|桃 #Y5eC1Sls|2006/08/14(月) 07:09 [ 編集 ]
桃さん
 推定7人の方が続きを待ってくださっていると思っているのですが…。
 桃さんも経験があるかもしれないのですが、創作って、書ける時と書けない時がありますよね。もちろん時間的余裕なんてのもありますけど。私の場合は精神的余裕がないと書けないのです;;
URL|ドッペル #-|2006/08/14(月) 23:11 [ 編集 ]
う~ん、続きが読みたい。
イラストも小説のイメージにぴったりですね。相乗効果を生んでいると思います。
URL|シナモン #EmPGCRXI|2006/08/24(木) 21:50 [ 編集 ]
シナモンさん
 わあ、ありがとうございますー!
 このイラストは、本当に素晴らしいですよね。
 シナモンさんをはじめ、みなさまのコメントでソーサク意欲が徐々に昂ぶって?来ました。
 失敗を怖れず書いてみたいと思います!
URL|ドッペル #-|2006/08/24(木) 23:14 [ 編集 ]
さっそくトラックバックさせていただきました。
 ドッペルさんの看板小説にトラックバックなんて、ドキドキします。
 よろしくお願いします。
 それから、続き楽しみにしています!
 
URL|佐藤さえ #-|2006/09/18(月) 15:23 [ 編集 ]
面白いですv
始めまして~
実はこのブログに来るのも初めてだったのですが、ページを開くなり素敵な小説がっ
設定がいいですね~。あたし、ファンタジーが大好きなので!
続きが楽しみです~~♪
URL|琴美 #pvv2y57c|2006/09/18(月) 17:11 [ 編集 ]
さえさん
TBありがとー!
旧ブログにも。
私の話から、新たなお話ができてとてもうれしいです!
ほんとにありがとー
URL|ドッペル #-|2006/09/18(月) 21:09 [ 編集 ]
琴美さん
 はじめまして!
 おおっ、読んでいただいたんですか。
 感謝甚大です。
 なんとか続きを書くようにがんばります。
 琴美さんのところにもおじゃましますね!
 コメントありがとうございました。
URL|ドッペル #-|2006/09/18(月) 21:12 [ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
| #|2006/09/26(火) 23:35 [ 編集 ]
↑のお嬢様へ
しばらく待ってくれ!
まずマイミクから調べないといかん!
逃げた訳ではないので必ず回答します。
おちゃめなドッピーより。
URL|ドッッピー #-|2006/09/28(木) 21:07 [ 編集 ]

初めまして、ご訪問くださり、ありがとうございます。
kazu osinoと申します。
サラリーマンがゲームの世界で活躍する!
読ませていただきました。とても、面白いです。
皆に頼りにされる、ギルマス!頑張って、王女様そして麻美さんを守って欲しいですね。
また遊びに来させていただきます。
URL|kazu osino #7av6LuR2|2006/09/30(土) 22:09 [ 編集 ]
ようこそ!
 こちらこそ、はじめまして!
 読んでいただき本当にありがとうございます。
 この物語は、けっこう自分がこうありたいなって感じで書いていて、また自分の体験なんかも形を変えて挿入しています。
 だから、書いてて楽しいのですけど、ブログに発表できるレベルのものは中々書けないんですよ。
 kazuさんの完結の方が早いかな?
URL|ドッペル #-|2006/09/30(土) 23:33 [ 編集 ]

ドッペルさん、こんばんは!!
僕のブログへの来訪、そしてコメント有り難うございました!!
Eternal Quest第一話から一気に読ませていただきました!
面白かったです!! 僕は妄想と現実が交錯するような話が好きなので、この先この話がどう展開していくのか興味津々です。
ドッペルさんの他の作品を読みながら続き待ってます!!
URL|eigo #-|2006/10/01(日) 19:00 [ 編集 ]
eigoさん
 こんばんはー。
 作家志望のeigoさんに読んでいただき、とても嬉しいです。
 ショートショートって、実は連載物より難しいと感じています。
 このEternalQuestは、ラストが決まっていますので比較的書きやすいです。(でも停滞していますが)
 コメント本当にありがとうございます。
 またお邪魔します!
URL|ドッペル #-|2006/10/01(日) 21:32 [ 編集 ]
ふふふー(^^)
なんだか、ドッペルさんのとこで見知った名前が出てくるの、嬉しい!
なんだか、どんどんつながっていく気がする!
ドッペルさん、らんららもマイミクになって欲しいですよ!
予約しときます。加入の時にはお知らせください!
URL|らんらら #-|2006/10/04(水) 16:12 [ 編集 ]
ふっふふふー・。・
 そうだね。らんらら嬢とはいろんなところでニアミスしてますね。
 実はミクシーやってますよ。
 でもすぐ飽きちゃって放置状態;;
 マイミクってのも正確に知らないんですよv-12
 お気に入りメンバーってことなのかな?
 うーん、ネットの世界は奥が深いねっと!
URL|ドッペル #-|2006/10/04(水) 21:53 [ 編集 ]

たのしかったです!小説♪ぜひ私もかいてるので
みてください!
URL|亜璃巣 #-|2006/10/06(金) 16:32 [ 編集 ]
亜璃巣 さんへ
コメントありがとうね。
こうやって初めての方からコメントをいただくと、どんなサイトなのかなあとちょっとドキドキします。
12歳のブログ作家さんですね。
ファンタジー小説になるのか、SFになるのかまだ分かりませんけど、続きを楽しみにしていますね。
※URLが違うリンクになっていたようなのでブックマークに入れておきました。
URL|ドッペル #-|2006/10/06(金) 21:03 [ 編集 ]
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URL|読物屋本舗 #-|2006/11/08(水) 01:07 [ 編集 ]
読物屋本舗さん
ふたつのランキングサイトに参加していますので、今回は辞退させていただきます。 って、このレスを読みに来てくれるのかなあ?
URL|ドッペル #-|2006/11/08(水) 21:51 [ 編集 ]
はじめまして
こんにちは、よく拝見しております。これからも遊びにきます☆
URL|hanae #-|2008/10/24(金) 13:25 [ 編集 ]

よく見ています。継続してアップ凄いです。僕も努力しないと・・・。もう寒いので風邪などに気をつけて下さい。また拝見させて頂きます。
URL|暁生 #-|2008/11/12(水) 09:33 [ 編集 ]
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『1 ゲームのエントリー』
ゲームの画面は大きな広間の中となっていた。 質素なつくりだが、海風に侵食されないように堅牢に立てられた城の中の大広間ではこれから晩餐会が開かれようとしていた。ろうそくに照らされた其々の食卓には、 この国に産した食物が所狭しと並べらていた。 料理長たちの配
佐藤さえ の じゆう帖|2006/09/18(月) 15:19

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空中ブランコ乗りのキキ(創作続編)

キキは、穏やかな海の上をゆっくりと羽ばたいていました。
 潮の香りがする空気をふたつの翼で包みながら前に進みます。  四回宙返りを成功したときのお客さんの拍手がまだキキの耳に残っています。  三回宙返りを成功させたときよりも、大きく、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手でした。  キキは、そのことにとても満足していました。
キキは、自分が白鳥になってしまったことを受け入れることができました。  賞賛と拍手をもらい、そして、世界の誰にもできない四回宙返りができたのですから。
   キキは、ロープも網もない大空で宙返りをしてみました。  三回、四回、そしてそれ以上何回転でも、いとも簡単に宙返りができました。
 それはそうです。
 白鳥になってしまったキキにはふたつの翼があるからです。
 大空でいくらキキが上手に宙返りをしても、誰からも拍手をもらえません。  それが少しだけ残念に思いました。
   キキは、ある日の夜、こっそりとサーカスの大テントに戻ってしまいました。  もう2度と戻らないと決心していたのに、どうしてもピエロのロロや団長に会いたかったのです。
 キキは、開けっ放しだった大テントの窓からこっそりと中に入っていきました。  もう夜でしたから、出し物は終わっていて、大テントの中は暗くてガランとしていました。  2回ほど羽ばたいて、あの空中ブランコの踏み板までやってきました。
 キキは、もういちど四回宙返りをやってみることにしました。  自分の力を試したかったのかもしれません。  だから、ふたつの翼を使うつもりはありませんでした。  そして、あのおばあさんからもらった、澄んだ青い水の入った小瓶もありませんでした。
 キキは、くちばしを使ってブランコにつかまりました。  そして、あの時と同じように、大きくブランコを振って、真っ暗な天井の奥へ向かって飛び出していました。   キキは翼を伸ばしました。でも羽ばたきはしません。
  一回転します。
  また花が開くように翼が伸びて、抱き抱えるようにつぼんで…二回転。今度は水から跳び上がるお魚のように跳ねて…三回転。  しかし、三回転半したところで、次のブランコまでは届かないことに気づきました。
   ブランコの下には網も張っていません。  白鳥になったキキですから、羽ばたけば固い地面に落ちることはありません。  でも、キキは、けっして羽ばたこうとはしませんでした。  まるで猟銃で撃たれてしまった鳥のように頭から落ちていきます。
 キキは、同じようにブランコから落ちて亡くなってしまったお父さんのことを思っていました。
   …お父さん、わたしはもうすぐ、そっちに行くから、待っていてね。
 そのときでした。  落ちていくキキの体を誰かがつかみました。  つかんだのは、キキと同じような白鳥でしたが、ずいぶんと年をとっているようです。  キキは、その白鳥のクチバシで体を優しくくわえられて、ふわりと着地することができました。
 …ありがとう。お父さん。
 キキには分かっていました。  あの年老いた白鳥がキキのお父さんだったことを。
 キキの足下には、一本の真っ白い羽が落ちていました。  キキは、その羽を拾いあげました。  それは年老いた白鳥の羽でした。
 不思議なことに、キキの体からは羽がなくなっています。  そう、すっかり人間の体に戻っていたのです。
 近くから大きな拍手が聞こえてきます。そして、ライトが一斉について大テントの中はとても明るくなりました。   ピエロのロロと、団長がキキの近くにいて笑顔で拍手をしています。  そしてふたりは、泣き笑いをしながらキキを抱きしめました。
 キキの目からも涙があふれてきました。   涙をぬぐいキキが入ってきた大テントの窓を見上げると、年老いた白鳥が、じっとキキの方を見ていました。
   その白鳥は、キキを力づけるかのように大きな鳴き声をあげると海の方へと飛んでいきました。  それいらい、誰もその年老いた白鳥を見ることがありませんでした。
 キキは、サーカスのブランコ乗りに戻りましたが、やはり三回宙返りがせいいっぱいで四回宙返りは、どうしてもできませんでした。
   でも、町の人々は、まるで翼が生えたようにいっそう華麗になったキキの演技に満足して、その姿をうっとりとして見ています。  注意深くキキの姿を見ると、白い羽の髪飾りを付けています。
 キキは、この町に、そしてこの大テントに戻ってきたのです。  
 空中ブランコ乗りのキキが戻ってきたことで、人々のどよめきが、潮鳴りのように町中を揺るがして、その古い港町をふたたび活気づけました。  人々はみんな思わず涙を流しながら、辺りにいる人々と、肩をたたき合い大きくて、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手が鳴りやむことはありませんでした。

あたしの風

あの男性(ひと)がやってきたのは2学期の途中、そうです、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   教室の大きな窓から吹き込んできた風のようにあのひとはやってきました。
 転校生でした。
本当に冷たい風のようなひとでした。  でも、あたしには、その風がとても心地よかったのです。   お風呂に入った後、お散歩に出かけた時に感じる風のように。  クラブ活動を終えた帰り道に、あの丘の上で感じる風のように。  遠足で行った高原で、あたしの頬を一瞬なでる風のように。  あのひとは、遠く遠くから風と一緒にやってきました。  この田舎町よりも、ちょっと都会だったようです。  クラスメイトも、そしてあたしも、その風が教室内で吹くことにためらいがありました。
 だって、  その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 でも、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
いつもは優しいあたしのクラスメイトも、その風が教室に流れ込むことを許しませんでした。
   なぜでしょうか。
やはり、
 その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 あのひとが連れてきた風は、そのうち、すっかり弱々しい風になってしまいました。
 もう風ではなくて、教室にある普通の空気に混ざってしまい、あの香りはなくなってしまいました。  クラスメイトも、馴染めなかった新しい風が吹かなくなって安心しているようでした。
    3年生になっても、あたしはあのひとと同じクラスになれました。  もう、あのひとには、あたしの好きな風を感じることができません。
そして、その日は、突然やってきました。  やっぱり、2学期の途中、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   朝のホームルームの時間に、あのひとは教室の前に立って、みんなに別れの挨拶をしていました。  あのひとは、やってきた時とくらべると全然元気がなくて、まるで空気が抜けた風船のようにしぼんでしまったように感じました。  通り一遍のあいさつが終わりました。  その時、あたしは、あの心地よい風を肌に感じていました。  だから、あたしは立ち上がって、開けっ放しだった教室の大きな窓を急いで閉めました。
   この風は、絶対にこの教室から出したくありませんでした。
 だって、  あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
 あのひとは、そんなあたしの姿をちらっと見ると、大きなスポーツバッグを持って、ほとんど無表情で教室から出て行ってしまいました。
 あたしのことを、クラスメートが不思議そうに見ていましたけど、そんなことはかまいませんでした。  徐々に、あのひとの風が教室から消えていってしまいました。
 なぜだか説明はできないけれど、あたしは教室から出て、あのひとの後を追いかけました。  あのひとの姿はみえなくても、あのひとの後には、あの素敵な香りが残っていました。
 あのひとは、あの丘の上に立っていました。  そこには、強い風が吹いていて、あたしは今にも吹き飛ばされてしまいそうでした。   やっと、あのひとのそばにたどり着きました。  あのひとは、あたしに向かって言いました。  でも風が強くて、とぎれとぎれにしか聞こえてきません。
「ぼくの… 風はきみに… でも… ここから離れても… いつか…きみと… この風に気づいたら… いいかい?」
 あたしは、
「もちろんよ。あたしをあなたの風で包んでちょうだい。そして、一緒に連れていって。」
 こう言って、目を閉じました。  すると、風があたしの体をすっぽりと包んでいることに気がつきました。
 その時、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風にもっと長く抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみました。
 風がだんだん弱くなって、心地よい香りだけがあたしのそばに残っていました。  目を開いて見ると、あのひとはいなくて、丘の下、遠くの方で土埃が舞っているのが見えました。  それ以来、あのひとと連絡はとれていないし、どこにいるのかも分からなくなってしまいました。
 でも、あたしは時々、あの丘で風が吹くのを待っています。
 あのひとは、絶対にあたしを迎えに来てくれるはず。
 その時には、優しい風に抱かれて、そしてその風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみようと思っています。  あのひとは、それを許してくれるはずです。
   優しい風であたしを包んで、あなたの住む街に連れていって…。 

My Emotional Supports

好きな作品を集めてきました。

マイク・オールドフィールド初期の傑作
まだ見ぬ風景を見たい方へ
Incantations
Incantations

こんなコンサートはマイクにしかできません
まさしく尋常ではない盛り上がり
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン

レムといえばこの作品
その世界に身を委ねてください
ソラリス
ソラリス

筒井作品としてはマニア度が問われるものです
筒井上級者?に薦めます
脱走と追跡のサンバ
脱走と追跡のサンバ

筒井康隆 七瀬シリーズ3部作
こちらはどなたでも楽しめます 1作読むごとに感動が増していきます 人間心理・家族心理への深い洞察
家族八景 七瀬ふたたび エディプスの恋人
家族八景
七瀬ふたたび
エディプスの恋人

ディックを読むと現実世界が急に危ういものになってしまいます
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

人生で必要なことはすべてここに書いています
毎日1ページでも読みたい本
7つの習慣―成功には原則があった!
7つの習慣―成功には原則があった!

シベリウスのシンフォニー全集 第1番から第7番までのボックスセットです
母国のオーケストラによる演奏はシベリウスへの愛情が感じられます
Sibelius: Complete Symphonies; Violin Concerto; Finlandia
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