秋のドッペルゲンガー

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ある日、2冊に;;

2006/10/23(月) 22:41:25

ある日どこかで

ある日どこかで


とにかく理屈なしのエンターテイメントを与えてくれる作家リチャード・マシスン。
地獄の家
縮みゆく人間
地球最後の男
などなど、時を忘れるほどの物語がたくさんあります。

 さて、この「ある日どこかで」は、もう1年ほど前に購入した本。
 昨夜、この本を読もうと思い部屋中を探したところ、すぐに見つかりました!
 しかも、2冊です;;

 よくよく思い出してみると、半年くらい前にも1冊買ったような気がします。
 かなりなさけなくなってしまいました。

 まだ読み終えていないのでレビューは書けませんが、世界幻想文学大賞を受賞した名作のようです。
 そしてこの本が原作となり1980年に公開された映画がカルト的人気を得て、ファンサイトまであるようです。
(読了次第、マシスン論も含めてレビューいたします!)

 文庫本も高価になり定価は980円です。
 いかにマシスンファンであっても2冊は必要ありません。
 ですから、もし、この本を読みたいって方は、こっそり連絡してくださいね。
 ブログ仲間の方であれば送料無料で送らせて頂きますよ!
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レビュー 愛のひだりがわ

2006/10/19(木) 22:29:03

愛のひだりがわ 愛のひだりがわ
筒井 康隆 (2006/07)
新潮社

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 筒井康隆・ジュブナイル・そしてこのカバー絵……間違いなく「買い」であった。
 以前は、筒井氏の文庫本をすべて読み尽くしてしまい、その後は新刊ハードカバーが発売されるとその販売日には必ず購入し、ほぼ1日で読み終えていた。
 でも、「文学部唯野教授」あるいは「虚人たち」といって実験的意味合いを持った作品から、だんだんと氏の作品から遠ざかるようになってしまった。

 この「愛のひだりがわ」は、岩波書店で販売されていたものの文庫化。
 筒井氏のジュブナイルといえば、もちろん「時をかける少女」…この作品は、映画にもなりアニメにもなっている。
 昔懐かしいNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」の原作本でもある。
 このテレビドラマは、私の記憶の中にもうっすらと残っている。
 非常に残念なことに、NHKではこのドラマを消去してしまい原盤が残されていないようだ。
 しかし、奇跡的にある個人の方が、当時としてはめずらしいホームビデオに録画していたものが発見され、それがDVD化されている。
 ただし、最終回のみなのだが…。
 ↓
NHK少年ドラマ・アンソロジー1NHK少年ドラマ・アンソロジー1


 
 さて「愛のひだりがわ」のレビューだが、もちろん文句なく面白かった。
 筒井作品としてさすがに手慣れた感があり、その設定も魅力的なのだが、コアな筒井ファンの私としては正直物足りなかった…というよりも非常に残念な作品であった。

 舞台は近未来の日本…のようだが、私は多元宇宙における日本といった感覚で読み進めていた。
 主人公は、野良犬に左腕を噛まれてしまい、左腕の自由がきかなくなってしまった少女。
 そしてこの少女は犬と話をすることができるといったエスパー的要素が与えられている。
 失踪してしまった父を捜し出すため、野良犬あるいは旅で知り合ったおじいさんとともに東京を目指し徒歩による旅をし、その旅の途中で成長していく。
 簡単に書くとそんな設定。

 この設定だけで、期待感でいっぱいとなってしまった。
 犬と一緒の旅行…これは覚えている方はもういないと思うがこのブログにも同じような設定で駄文を書いたことがある。
 もちろん、その時、筒井氏の作品は読んでいなかった。
 偶然の一致とは言え、筒井氏の作品に影響され駄文を書いている私としては相当興奮して、ますますこの作品への期待度が高まった。

 物語中盤までは、筒井氏の描き出す世界、シチュエーションに酔いしれて、「あー、これは俺が書きたかった世界なんだ。」などと身の程知らずの感想を抱きながら、小説の主人公そして作者の筒井氏自身にも感情移入しながら読み進めていた。
 つまり、この素敵な物語は、こうなって欲しいと勝手に自分で続きを想像しながら読み進めてしまったのだ。
 残念ながら、私の想像(期待)と、この作品の展開は微妙にずれていってしまう。

 物語の中ごろ、そして後半部分に入り、「3年たった。私は中学3年生になった」と、たった2行の文章で物語の時が3年進んでしまってから、残念ながらこの作品に付いていくことができなくなってしまった。

 もちろん、それだけではなく、主人公が旅をしながら出会う人々、そして遭遇する出来事などに心が動かなくなってしまった。
 ひとつひとつのエピソードはそれぞれ筒井氏らしい印象的なものなのだが、なにか取って付けたようなものに感じてしまって物語世界に入り込み難くなった。

 この作品を読んでいて、ずっと考えてきたのは、読者である私の感受性が衰えてきたのか、それとも筒井氏の力量が衰えてきたのか…ということである。
 おそろしく偉そうなことを書いて、筒井ファンの方には申し訳ないが、これは私の素直な印象なのでご容赦願いたい。

 この作品について、批判めいたことを書いてしまったが、それでも熟練の語り部が創った作品として安心して読むことができるし、左手が不自由な少女を主人公にするあたりは「断筆宣言」をした筒井氏のメッセージともとれ興味深い。

 この作品が、さきほどのNHK少年ドラマにでもなれば、とても面白いものができあがることだろうと思う。
 今、こう書いて気づいたが、私はこの作品を物語ではなくてシナリオとして読んでしまったのかもしれない。
  
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とりぱん

2006/10/04(水) 21:16:49

漫画と映画を間違えてTBしてしまいました。すみません。
とりぱん とりぱん
とりの なん子 (2006/09/22)
講談社

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 このマンガは、ブログ仲間の方から送って頂いたものです。
 最近はマンガを全く読んでいませんでした。
 熱中して読んだのは、「めぞん一刻」くらいですからもう何年いや何十年も前のことです。

 この「とりのなん子」という著者はまったく知りませんでした。
 かなりふざけたペンネームです。

 内容を簡単に表すと、バードウォッチングものでしょうか?
 バードウォッチングと言っても、驚くほど狭い範囲、つまり著者の庭にやってくる鳥の観察です。
 本当に狭い舞台でのお話です。
 しかし、その狭さがこのマンガにより一層のリアリティーと暖かさを与えているのです。

 絵のタッチは牧歌的で、ちょうど四コマギャグマンガのようで親しみがもてます。
 基本は、ギャグ系のようですが、随所にはっとするような感性の豊かさを感じられるところがあります。

 この第2巻の白眉は、弱ったカマキリを自分の家でいたわりながら出産(産卵ですね)させ、そしてその死を看取るまでの物語です。
 自分のことを出して申し訳ありませんが、私が書くような「お涙ちょうだい」的な描写は一切ありません。
 あくまでも、面白おかしくカマキリのことを書いています。

 なんたって餌をとる力がなくなったカマキリのために自ら生きたハエやら虫を捕まえてくるのです。

 そしてカマキリの死もあっさりと描写しています。
かまさんはついに意識を失った
なんでそんなことがわかるのかというと
目の光が消えてしまったからだ

 このシーンはかなりグッと来てしまいました。

 基本は、著者の庭に来る鳥たちの観察記です。
 もちろん鳥を面白おかしく擬人化して描いています。
 その手法も秀逸です。

 このマンガほど鳥、生き物、あるいは自然に対して優しい視点で描かれたものは少ないと思います。

 本当に素晴らしいマンガでした。
 送ってくださった方、ありがとうね!
 (これだからブログはやめられませんね!)←蛇足;; 
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脱走と追跡のサンバと浴槽で発見された手記の類似性について、またはディック作品との類似性

2006/09/16(土) 20:40:11

脱走と追跡のサンバ 脱走と追跡のサンバ
筒井 康隆 (1996/12)
角川書店
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 タイトル長すぎです!
 しかも、このタイトルを読んでもおそらく何のことだか分からないでしょう。
 もし分かってくれる方がいらっしゃったら、おそらくあなととは直ぐにお友達になれる、いや、もし女性でしたらプロポーズしています!

 …と、前振りはこのへんにして…このところアフィリエイトサイト作りで寝不足が続いています;;

 大したことは書けません。
 しかし、私は、筒井康隆氏の「脱走と追跡のサンバ」が大好きで、そしてレムの「浴槽で発見された手記」(現在入手困難サンリオSF文庫版)も大好きで、その大好きさ加減が私の中では全く一緒なのです。(終わり)

 いきなり終わってしまいましたが、書きたいのは結局これだけのことです。
 筒井氏の「脱走~」は、まさしく悪夢、終わることのない悪夢の中に私を連れて行ってくれます。
 私は、夢見がちな中年?なので、かなり不条理な夢を見ることが多いのですが、この作品に比べればかなりへっぽこな夢です。
 しかし、私が見る不条理な夢の原点はこの作品にあると感じています。
 つまり、すでに何十年もこの作品の影響下で私の悪夢が生まれているのです。
 なんか怖いハナシですが、悪夢を見ること自体が好きなので、かえって筒井氏に感謝しているくらいなのです。
 
 筒井氏や故星新一氏の作品からSFに目覚めた私は、徐々に海外の悪夢本(SF)へと進んでいきました。
 そこで出会ったのがスタニスワフ・レムです。
 このおっさんも、医者のくせに、とんでもない話を書く人でした。
 そして、このおっさんの書く悪夢も筒井氏の作品を読んだ時と同じような感想を抱きました。
 まさしく悪夢は万国共通なものだと気づかされたのです。

 さて、いつものように何を書いているのか分からなくなり、これから何を書いていいのかも分からなくなってしまいました。
 まさしく悪夢のようです;;

 私にとって小説とは現実を忘れさせてくれる装置なのです。 そしてタイムマシンでもあります。
 つまり、現実では絶対に経験できないこと、そして現実では行くことのできない過去や未来に連れていってくれる。
 アマゾンのジャングルへ、ローマ時代へ、古代中国へ、あるいは見たことのない未来へ…。
 そして、そんな場所、そんな時代への案内人(作者)はそんじょそこらの三文作家では満足できません。
 というよりも、下手な案内人だと、虚構の世界から現実に戻ってしまい、期待するような世界を体験できないのです。

 その点、筒井氏とレムは、最高の夢先案内人なのです。
 あり得ない世界とトンデモない状況を私に体験させてくれるのです。
 かといって荒唐無稽なだけではありません。
 そこには凡百な恋愛小説よりも尊い恋愛があり、凡百な哲学書よりも深い哲学が含まれているのです。

 それでは、このへんでっ!
 小遣い稼ぎサイト作りに戻ることとします;;
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波瀾万丈な物語

2006/08/22(火) 22:04:26

 胸躍り息もつけない面白さとはこの作品のことを言うのだろう。
 私などは、寝床で読んでいたのにかかわらず、その素晴らしさで何回立ち上がってしまったことだろう。
 立ち上がってしまうほど面白い作品なんてめったに巡り会うことができないものだ。

 遙か遠くネパールで生まれたその作品は、「Self standing(邦題:完全なる自立)」
 あえてジャンル分けするとしたら、霊長類学あるいは博物学になるだろうか。
 しかし、そんなジャンルなんてどうでもいいだろう。
 すべてのジャンルを超越して、まさしく私たちの前に立ちはだかるような輝きがある。
 万人に勧められる作品です。
  ↓
 Self standing(完全なる自立) amazonでこの商品の詳細を見る 
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学習漫画・日本の歴史

2006/08/18(金) 21:38:31




 実家に、「集英社版・学習漫画 日本の歴史」の12巻から18巻までありました。
 近所の方が、私の甥・姪のためにくれたそうです。
 今夏、姪が遊びに来ましたが、この本には全く興味を示さず、買ってあげたPSPで猿を捕まえるゲームを一心不乱にやっていました。

 12巻は「崩れゆく江戸幕府」で興味本位で読み始めたところ面白く、また分かりやすくてあっという間に18巻「新しい日本のあゆみ」まで読破してしまいました。

 こういった歴史学習漫画は、学校の図書館にもありました。
 図書館で読める唯一の漫画だったので人気があったと覚えています。

 漫画だからと言ってバカにはできません。
 下手な歴史解説書などよりよっぽど勉強になります。
 漫画以外にも実物写真や実写風のイラストなどが豊富です。
 また巻末の「お母様がたへ」という解説も親切です。

 全18巻というボリュームがあるシリーズですが、図書館などで借りてお子さんと一緒に読んでみるのはいかがでしょうか?

 幕府が崩壊して混沌とした状態から戦争を経て近代日本ができあがってきた様子がとても良く分かりました。
 特に薩摩・長州藩出身の人物が近代化にどれだけ貢献したのかを知り驚きました。
 私の友人にも、九州出身の方が多いのですが、ほとんどの方はエネルギッシュで優秀です。
 政界にもいまだに薩長出身者は多いのではないでしょうか?

 ちなみに私は北海道出身です。
 そういえば、この漫画には東北出身の偉人は描かれていましたが、北海道は、「開拓場所」としてクラーク博士の農学校くらいしか描かれてなかったなあ;;
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氷壁

2006/07/20(木) 22:15:56

 ちょうど、ブログをカスタマイズしたり、記事を書いている時間に、NHKでドラマ「氷壁」がながれている。
 時々、山のシーンなどがあると見入ったりするが、ほぼ適当にみてるのでストーリーも定かではない。
 また、男女の愛情のもつれが描かれていて、個人的には、安易にラブストーリー化する映画やドラマの展開に辟易していたところなので、このドラマから興味が失われてきた。

 今日は、何話くらいだろうか?
 そんなことも分からないし、俳優も顔は知っているが名前が分からない。
 分かるのは石坂浩二くらいか。

 今夜も、そんな感じでいいかげんに見ていた。
 愛情が大きな主題となってきている。
 そして、法廷に立った妻が夫の前で、他の男性への愛を告白する場面があった。
 この場面から、すっかりとドラマの中に引きずりこまれてしまった。

 安易なラブストーリーではなかった。
 井上靖は、「原作」ではなく「原案」となっている。
 なにしろ昭和32年に書かれた小説だ。
 しかし、骨格は同じであろう。
 
 氏の作品は、「しろばんば」くらいしか読んでいない。
 すっかり筋も忘れているが、中学生くらいの時に読んでその叙情性、田舎の描き方にずいぶん感心した覚えがある。

 さて、文豪の書いた世界に浸ってみようか。

氷壁 氷壁
井上 靖 (1963/11)
新潮社

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空中ブランコ乗りのキキ(創作続編)

キキは、穏やかな海の上をゆっくりと羽ばたいていました。
 潮の香りがする空気をふたつの翼で包みながら前に進みます。  四回宙返りを成功したときのお客さんの拍手がまだキキの耳に残っています。  三回宙返りを成功させたときよりも、大きく、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手でした。  キキは、そのことにとても満足していました。
キキは、自分が白鳥になってしまったことを受け入れることができました。  賞賛と拍手をもらい、そして、世界の誰にもできない四回宙返りができたのですから。
   キキは、ロープも網もない大空で宙返りをしてみました。  三回、四回、そしてそれ以上何回転でも、いとも簡単に宙返りができました。
 それはそうです。
 白鳥になってしまったキキにはふたつの翼があるからです。
 大空でいくらキキが上手に宙返りをしても、誰からも拍手をもらえません。  それが少しだけ残念に思いました。
   キキは、ある日の夜、こっそりとサーカスの大テントに戻ってしまいました。  もう2度と戻らないと決心していたのに、どうしてもピエロのロロや団長に会いたかったのです。
 キキは、開けっ放しだった大テントの窓からこっそりと中に入っていきました。  もう夜でしたから、出し物は終わっていて、大テントの中は暗くてガランとしていました。  2回ほど羽ばたいて、あの空中ブランコの踏み板までやってきました。
 キキは、もういちど四回宙返りをやってみることにしました。  自分の力を試したかったのかもしれません。  だから、ふたつの翼を使うつもりはありませんでした。  そして、あのおばあさんからもらった、澄んだ青い水の入った小瓶もありませんでした。
 キキは、くちばしを使ってブランコにつかまりました。  そして、あの時と同じように、大きくブランコを振って、真っ暗な天井の奥へ向かって飛び出していました。   キキは翼を伸ばしました。でも羽ばたきはしません。
  一回転します。
  また花が開くように翼が伸びて、抱き抱えるようにつぼんで…二回転。今度は水から跳び上がるお魚のように跳ねて…三回転。  しかし、三回転半したところで、次のブランコまでは届かないことに気づきました。
   ブランコの下には網も張っていません。  白鳥になったキキですから、羽ばたけば固い地面に落ちることはありません。  でも、キキは、けっして羽ばたこうとはしませんでした。  まるで猟銃で撃たれてしまった鳥のように頭から落ちていきます。
 キキは、同じようにブランコから落ちて亡くなってしまったお父さんのことを思っていました。
   …お父さん、わたしはもうすぐ、そっちに行くから、待っていてね。
 そのときでした。  落ちていくキキの体を誰かがつかみました。  つかんだのは、キキと同じような白鳥でしたが、ずいぶんと年をとっているようです。  キキは、その白鳥のクチバシで体を優しくくわえられて、ふわりと着地することができました。
 …ありがとう。お父さん。
 キキには分かっていました。  あの年老いた白鳥がキキのお父さんだったことを。
 キキの足下には、一本の真っ白い羽が落ちていました。  キキは、その羽を拾いあげました。  それは年老いた白鳥の羽でした。
 不思議なことに、キキの体からは羽がなくなっています。  そう、すっかり人間の体に戻っていたのです。
 近くから大きな拍手が聞こえてきます。そして、ライトが一斉について大テントの中はとても明るくなりました。   ピエロのロロと、団長がキキの近くにいて笑顔で拍手をしています。  そしてふたりは、泣き笑いをしながらキキを抱きしめました。
 キキの目からも涙があふれてきました。   涙をぬぐいキキが入ってきた大テントの窓を見上げると、年老いた白鳥が、じっとキキの方を見ていました。
   その白鳥は、キキを力づけるかのように大きな鳴き声をあげると海の方へと飛んでいきました。  それいらい、誰もその年老いた白鳥を見ることがありませんでした。
 キキは、サーカスのブランコ乗りに戻りましたが、やはり三回宙返りがせいいっぱいで四回宙返りは、どうしてもできませんでした。
   でも、町の人々は、まるで翼が生えたようにいっそう華麗になったキキの演技に満足して、その姿をうっとりとして見ています。  注意深くキキの姿を見ると、白い羽の髪飾りを付けています。
 キキは、この町に、そしてこの大テントに戻ってきたのです。  
 空中ブランコ乗りのキキが戻ってきたことで、人々のどよめきが、潮鳴りのように町中を揺るがして、その古い港町をふたたび活気づけました。  人々はみんな思わず涙を流しながら、辺りにいる人々と、肩をたたき合い大きくて、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手が鳴りやむことはありませんでした。

あたしの風

あの男性(ひと)がやってきたのは2学期の途中、そうです、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   教室の大きな窓から吹き込んできた風のようにあのひとはやってきました。
 転校生でした。
本当に冷たい風のようなひとでした。  でも、あたしには、その風がとても心地よかったのです。   お風呂に入った後、お散歩に出かけた時に感じる風のように。  クラブ活動を終えた帰り道に、あの丘の上で感じる風のように。  遠足で行った高原で、あたしの頬を一瞬なでる風のように。  あのひとは、遠く遠くから風と一緒にやってきました。  この田舎町よりも、ちょっと都会だったようです。  クラスメイトも、そしてあたしも、その風が教室内で吹くことにためらいがありました。
 だって、  その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 でも、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
いつもは優しいあたしのクラスメイトも、その風が教室に流れ込むことを許しませんでした。
   なぜでしょうか。
やはり、
 その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 あのひとが連れてきた風は、そのうち、すっかり弱々しい風になってしまいました。
 もう風ではなくて、教室にある普通の空気に混ざってしまい、あの香りはなくなってしまいました。  クラスメイトも、馴染めなかった新しい風が吹かなくなって安心しているようでした。
    3年生になっても、あたしはあのひとと同じクラスになれました。  もう、あのひとには、あたしの好きな風を感じることができません。
そして、その日は、突然やってきました。  やっぱり、2学期の途中、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   朝のホームルームの時間に、あのひとは教室の前に立って、みんなに別れの挨拶をしていました。  あのひとは、やってきた時とくらべると全然元気がなくて、まるで空気が抜けた風船のようにしぼんでしまったように感じました。  通り一遍のあいさつが終わりました。  その時、あたしは、あの心地よい風を肌に感じていました。  だから、あたしは立ち上がって、開けっ放しだった教室の大きな窓を急いで閉めました。
   この風は、絶対にこの教室から出したくありませんでした。
 だって、  あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
 あのひとは、そんなあたしの姿をちらっと見ると、大きなスポーツバッグを持って、ほとんど無表情で教室から出て行ってしまいました。
 あたしのことを、クラスメートが不思議そうに見ていましたけど、そんなことはかまいませんでした。  徐々に、あのひとの風が教室から消えていってしまいました。
 なぜだか説明はできないけれど、あたしは教室から出て、あのひとの後を追いかけました。  あのひとの姿はみえなくても、あのひとの後には、あの素敵な香りが残っていました。
 あのひとは、あの丘の上に立っていました。  そこには、強い風が吹いていて、あたしは今にも吹き飛ばされてしまいそうでした。   やっと、あのひとのそばにたどり着きました。  あのひとは、あたしに向かって言いました。  でも風が強くて、とぎれとぎれにしか聞こえてきません。
「ぼくの… 風はきみに… でも… ここから離れても… いつか…きみと… この風に気づいたら… いいかい?」
 あたしは、
「もちろんよ。あたしをあなたの風で包んでちょうだい。そして、一緒に連れていって。」
 こう言って、目を閉じました。  すると、風があたしの体をすっぽりと包んでいることに気がつきました。
 その時、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風にもっと長く抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみました。
 風がだんだん弱くなって、心地よい香りだけがあたしのそばに残っていました。  目を開いて見ると、あのひとはいなくて、丘の下、遠くの方で土埃が舞っているのが見えました。  それ以来、あのひとと連絡はとれていないし、どこにいるのかも分からなくなってしまいました。
 でも、あたしは時々、あの丘で風が吹くのを待っています。
 あのひとは、絶対にあたしを迎えに来てくれるはず。
 その時には、優しい風に抱かれて、そしてその風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみようと思っています。  あのひとは、それを許してくれるはずです。
   優しい風であたしを包んで、あなたの住む街に連れていって…。 

My Emotional Supports

好きな作品を集めてきました。

マイク・オールドフィールド初期の傑作
まだ見ぬ風景を見たい方へ
Incantations
Incantations

こんなコンサートはマイクにしかできません
まさしく尋常ではない盛り上がり
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン

レムといえばこの作品
その世界に身を委ねてください
ソラリス
ソラリス

筒井作品としてはマニア度が問われるものです
筒井上級者?に薦めます
脱走と追跡のサンバ
脱走と追跡のサンバ

筒井康隆 七瀬シリーズ3部作
こちらはどなたでも楽しめます 1作読むごとに感動が増していきます 人間心理・家族心理への深い洞察
家族八景 七瀬ふたたび エディプスの恋人
家族八景
七瀬ふたたび
エディプスの恋人

ディックを読むと現実世界が急に危ういものになってしまいます
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

人生で必要なことはすべてここに書いています
毎日1ページでも読みたい本
7つの習慣―成功には原則があった!
7つの習慣―成功には原則があった!

シベリウスのシンフォニー全集 第1番から第7番までのボックスセットです
母国のオーケストラによる演奏はシベリウスへの愛情が感じられます
Sibelius: Complete Symphonies; Violin Concerto; Finlandia
Sibelius: Complete Symphonies; Violin Concerto; Finlandia

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