秋のドッペルゲンガー

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淫らな太もも(18禁)~後編

2007/06/10(日) 11:14:53

注 ますます表現が露骨になっていきます。Adults Only!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 俺は、危うく痴漢となるところだった。
 電車が停止してドアが開いた。
 ひとときの夢だったんだな・・・・・・そう思って彼女から体を離し電車から降りた。
 俺の右手は、彼女の柔らかい胸まであと数センチのところだった。
 どうせなら触ってしまえばよかった。彼女もそれを望んでいたはずだし……あいかわらずそんな妄想にとりつかれていた。

 俺のマンションは駅を降りてから歩いて15分かかる。
 駅前だけはけっこうにぎやかだが、5分も歩くと人家も少なくなり田んぼがあるような郊外の駅だ。

 俺は、いつものように煙草をすいながら家に向かっていた。
 
 あっ、彼女だ。
 さっき電車の中で俺と密着していた女だ。
 俺の10メートルくらい前を歩いている。
 あんなきれいな女が俺と同じ駅を使っていたんだ。
 それに帰る方向まで一緒のようだった。
 後ろから見る彼女の足はブーツに隠されていたが、まっすぐでとてもきれいな足だった。
 歩くたびに形の良い尻が左右に揺れている。

 やはり彼女は俺を誘っているんじゃないのか?
 その証拠に時々チラチラと振り返って俺の方を見ている。
 これだけ離れていても、あの新緑の薫りが漂ってきた。

 駅から俺のマンションまでは交差点を3回右に、そして2回左に曲がる必要がある。
 彼女の後を歩き3回右に曲がったところだ。
 そして彼女は次の交差点を……やはり左に曲がった。

 もう確信していた。
 彼女は俺の住んでいるところを知っているのだ。
 もしかしたら俺のストーカーかもしれないが彼女だったら大歓迎だ。
 彼女は絶対に俺を誘っているのだ。
 俺の淫らな欲望が再度高まってくるのを感じた。

 彼女は最後の曲がり角も左に曲がった。
 あと100メートルほどで俺のマンションに着く。

 俺は足を速めて彼女に近づいていった。
 すると彼女は振り返り、ニコっと微笑んだ。
 その笑顔を見て、俺の欲望ははち切れんばかりとなってたまらず走り出した。

 すると彼女も走り出した。
 まるで俺から逃げるように……。

 俺は全速力で彼女を追った。
 彼女は、尻を激しく左右に揺らしながら俺と同じように全速力で走っていた。
 俺と彼女の差はまったく縮まらない。
 おまけに俺のマンションは、とっくに通り過ぎてしまっている。

 彼女の走法は完璧だった。
 あごを引き、太ももを高く上げ、腕を大きく振っている。
 まるで陸上の選手のようだった。

 負けてはいられない。
 俺の性欲は異常に強いのだ。
 しかし今は、性欲というよりも獲物を狙う肉食動物のような狩猟本能が俺の中で目を覚ましたようだった。

 俺は学生時代ラグビーの選手だった。
 だから足には自信がある。
 
 少しずつだが彼女との差が縮まってきた。
 もうすこしだ……。

 俺はやっと彼女に追いつき、そして併走していた。
 横目で見ると、彼女の形の良い胸が上下に大きく揺れていた。

 とうとう俺は彼女を抜き去った。
 さっきとは逆に10メートルくらい差をつけることができた。

 俺は振り返って確かめた。
 すると、彼女は、ものすごい形相でスピードアップしている。
 スリットスカートがめくれてきれいな白い太ももが見え隠れしている。
 太ももの筋肉がダイナミックに躍動している。
 どうやら彼女はまた俺を抜き去るつもりらしい。
 
 負けてたまるか…俺は力を振り絞って走り続けた。
 しかし、彼女の持久力のほうが勝っているようだ。
 ハッハッ、スースー、ハッハッ、スースー、というプロの長距離走者がやる規則的な呼吸が聞こえてくる。
 
 とうとう彼女は俺に追いつき、そしてまた併走することとなった。
 あいかわらず形の良い胸はその弾力性を誇るかのように上下に揺れている。

 既に30分は走り続けているはずだ。
 俺と彼女はお互いにもう追い抜いたりするようなことはなく、きれいに隣同士でペースをあわせて走っていた。
 俺も彼女をまねてハッハッ、スースー、ハッハッ、スースーと呼吸をしている。
 これこそ文字通り息が合うってことだろう。

 彼女となら、こうやって息を合わせてどこまでも走っていけそうだ。
 心と体がひとつになるってのはこういったことだろう。

 俺の隣の彼女は、あいかわらず形の良い胸の弾力性を誇るかのように上下に揺らしながら走っている。
 スリットスカートがめくれてきれいな白い太ももが見え隠れしている。
 太ももの筋肉がダイナミックに躍動している。
 そして俺は彼女のきれいな髪から漂ってくる新緑の薫りを味わいながら呼吸を続けていた。

 彼女となら、こうやって息を合わせてどこまでも走っていけそうだ。
 呼吸も一緒なら、今や走るペースも完全に同じになった。
 心と体がひとつになるってのはこういうことなんだろう。

 もちろん目的地なんてなかった。
 そして俺の淫らな欲望はすっかり消え失せ、純粋に走ることを愉しんでいた。
 
 彼女と一緒にこうやっていつまでもいつまでも走り続けることさえできればそれでよかった。

 (淫らな太もも 完)
 
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コメント
大爆笑
 スポーツの秋ですね!
 主人公がみだらに思ったのは、胸ばっかりじゃないですか、そこも とってもおもしろかったです。
URL|佐藤さえ #7bFqEO26|2006/10/14(土) 11:27 [ 編集 ]
早っ!
 どうでしょうか?かなり興奮させてしまったのではないでしょうか?
大官能ロマン小説を愉しんでいただけましたか。
タイトルはテキトーに付けたんで、そういえば「太もも描写」がなかったことに気づきました;;
そこで、ちょっとだけ太ももについても加筆しときました。これでより一層官能小説として完成したものになったと自負しております。
URL|ドッペル #-|2006/10/14(土) 11:53 [ 編集 ]
あははは
早くてごめんなさい、ちょうど子供と外出先から帰ってきたら、記事がアップしてあったので、タイトルでびっくりして、ちょっとあわてました。
(だって、訪問者若い女性が多いのに とか)
大官能ロマン堪能いたしました。ごちそうさまでした。
URL|佐藤さえ #7bFqEO26|2006/10/14(土) 12:07 [ 編集 ]
ひぇ~
ドッペルさん急に走り出したと思ったら…
こういうの自動販売機の陰でなんとやら~以来の
衝撃官能大ロマン!
大人だな~。ドキドキさせられて、なんだか一緒に走っている気分でした。スポーツの秋にふさわしいですねv-30v-356
わたくしめも堪能させていただきました。ごちそうさまi-237
URL|沙羅 #-|2006/10/14(土) 15:05 [ 編集 ]
昇華!
こんにちは~、いいですね、18禁も。
しかも、結末が清々しいし!
ぷぷ。面白い!
URL|ntmym #-|2006/10/14(土) 15:19 [ 編集 ]
これはこれは皆さん…
v-319密かに、官能小説が好きなんじゃないですか~?

>さえさん
リクエストがあれば、もっと淫靡な世界を用意していますよ!v-344

>沙羅さん
これくらいのレベルで「堪能」というのは早いですよ。
この官能世界は、奥が深いのですから!e-269

>ntmymさん
昇華ショウセツかもしれませんね。でもその昇華の仕方がちょっと変なんですけどね。
えっ?清々しいですか。私はめいっぱいいやらしさを表現したのですがv-319
URL|ドッペル #-|2006/10/14(土) 16:30 [ 編集 ]

うまいですよね~

さすがドッペルさんだ・・・。
こういった展開に持っていくのがうまいですよね、ほんとに・・・

ジェラシ~・・・v-10
URL|だみあん #fRjoE41.|2006/10/14(土) 22:37 [ 編集 ]
ぴっかりくんへ
官能小説は難しい…やっぱり人間の本能に訴えるってのはかなりの力量がないと駄目ですね。
それと、そっち関係の経験が豊富じゃないとリアリティーがないな。かといって痴漢を経験するのもなー。
URL|ドッペル #-|2006/10/15(日) 18:42 [ 編集 ]

これは面白い!
よくよく考えるとラストが一番エロいかも。
URL|piaa #-|2006/10/16(月) 00:06 [ 編集 ]
piaaさん
 こんばんは!
 一緒に走るっていうアイデアはあったんですがラストをどうしようかと考えていませんでした。
 そういわれてみると、このラストもなにかエロい終わり方のように感じてきました!
 コメントありがとうございます!
URL|ドッペル #-|2006/10/16(月) 19:34 [ 編集 ]

いつも読むだけでしたが
今回はじめてコメントさせていただきます。
面白い物語ですが、
主人公の男性が新聞を持っていること以外
服装などが全く描写されていない部分が
物語を若干弱くさせているような気がします。
それと、
「そして俺の淫らな欲望はすっかり消え失せ」
は説明しすぎな感じがします。
URL|老婆歯科 #DSptUo96|2006/10/24(火) 11:28 [ 編集 ]
こちらこそ
はじめまして!老婆歯科さん(あいかわらず変換しにくい名前ですね)
なるほど主人公を描いていなかったな。
自分の脳内では自分を主人公にしていたから書く必要がなかったが、読んでいる人にとっちゃイメージしにくいだろう。
なるほど。
それと説明的部分の指摘はさすがに鋭い。
というのは、この部分、後で「説明的でくどいけど書き加えよう」と思って書き足した部分。
というのは、オハナシを書くとよく「意味が分からない」って反応があるので書き足した。
読み返すと確かにそうかもしれない。
それよりも、女とジョギング状態になる部分をもっとわかりやすく書いた方がいいのかなとも思っている。
URL|ドッペル #-|2006/10/24(火) 19:34 [ 編集 ]

ははは、ばれてる!
おかしい!
URL|佐藤さえ #-|2006/10/24(火) 20:01 [ 編集 ]

私を嘲るのは誰?!じゅんじゅん?!
承知しないわよ!!

昔の歌にあるように
老婆は、管理人をテストしにきたのよ。
URL|老婆歯科 #DSptUo96|2006/10/24(火) 20:20 [ 編集 ]
やめて
じゅんじゅんって! 
URL|佐藤さえ #-|2006/10/24(火) 21:29 [ 編集 ]
老婆さんて
もしや…?
ここが「はじめまして」で老婆さん登場場面?
それなのにドッペルさん「あいかわらず変換しにくい」と。
さえさん、「ばれてる」って。
う…ん、わからない。コメントが推理小説になっている。
「じゅんじゅん」ってなあに?
「昔の歌」が何処にひっかかるのかしら?
ドッペルさんのブログを訪問するようになって1年になるというのに
どうもこの手の推理がピンと来ない鈍感なワタシ。がくっ。

変換しにくい名前の方は一人知ってますけどね。多分そうなのかな。
こんなおかしいコメントは他にはいないですよねー。
やっぱりそうですよねー。
URL|沙羅 #-|2006/10/25(水) 10:10 [ 編集 ]

>「昔の歌」http://www.lyricsfreak.com/k/kate+bush/babooshka_20077205.html
URL|老婆歯科 #DSptUo96|2006/10/25(水) 13:39 [ 編集 ]
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空中ブランコ乗りのキキ(創作続編)

キキは、穏やかな海の上をゆっくりと羽ばたいていました。
 潮の香りがする空気をふたつの翼で包みながら前に進みます。  四回宙返りを成功したときのお客さんの拍手がまだキキの耳に残っています。  三回宙返りを成功させたときよりも、大きく、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手でした。  キキは、そのことにとても満足していました。
キキは、自分が白鳥になってしまったことを受け入れることができました。  賞賛と拍手をもらい、そして、世界の誰にもできない四回宙返りができたのですから。
   キキは、ロープも網もない大空で宙返りをしてみました。  三回、四回、そしてそれ以上何回転でも、いとも簡単に宙返りができました。
 それはそうです。
 白鳥になってしまったキキにはふたつの翼があるからです。
 大空でいくらキキが上手に宙返りをしても、誰からも拍手をもらえません。  それが少しだけ残念に思いました。
   キキは、ある日の夜、こっそりとサーカスの大テントに戻ってしまいました。  もう2度と戻らないと決心していたのに、どうしてもピエロのロロや団長に会いたかったのです。
 キキは、開けっ放しだった大テントの窓からこっそりと中に入っていきました。  もう夜でしたから、出し物は終わっていて、大テントの中は暗くてガランとしていました。  2回ほど羽ばたいて、あの空中ブランコの踏み板までやってきました。
 キキは、もういちど四回宙返りをやってみることにしました。  自分の力を試したかったのかもしれません。  だから、ふたつの翼を使うつもりはありませんでした。  そして、あのおばあさんからもらった、澄んだ青い水の入った小瓶もありませんでした。
 キキは、くちばしを使ってブランコにつかまりました。  そして、あの時と同じように、大きくブランコを振って、真っ暗な天井の奥へ向かって飛び出していました。   キキは翼を伸ばしました。でも羽ばたきはしません。
  一回転します。
  また花が開くように翼が伸びて、抱き抱えるようにつぼんで…二回転。今度は水から跳び上がるお魚のように跳ねて…三回転。  しかし、三回転半したところで、次のブランコまでは届かないことに気づきました。
   ブランコの下には網も張っていません。  白鳥になったキキですから、羽ばたけば固い地面に落ちることはありません。  でも、キキは、けっして羽ばたこうとはしませんでした。  まるで猟銃で撃たれてしまった鳥のように頭から落ちていきます。
 キキは、同じようにブランコから落ちて亡くなってしまったお父さんのことを思っていました。
   …お父さん、わたしはもうすぐ、そっちに行くから、待っていてね。
 そのときでした。  落ちていくキキの体を誰かがつかみました。  つかんだのは、キキと同じような白鳥でしたが、ずいぶんと年をとっているようです。  キキは、その白鳥のクチバシで体を優しくくわえられて、ふわりと着地することができました。
 …ありがとう。お父さん。
 キキには分かっていました。  あの年老いた白鳥がキキのお父さんだったことを。
 キキの足下には、一本の真っ白い羽が落ちていました。  キキは、その羽を拾いあげました。  それは年老いた白鳥の羽でした。
 不思議なことに、キキの体からは羽がなくなっています。  そう、すっかり人間の体に戻っていたのです。
 近くから大きな拍手が聞こえてきます。そして、ライトが一斉について大テントの中はとても明るくなりました。   ピエロのロロと、団長がキキの近くにいて笑顔で拍手をしています。  そしてふたりは、泣き笑いをしながらキキを抱きしめました。
 キキの目からも涙があふれてきました。   涙をぬぐいキキが入ってきた大テントの窓を見上げると、年老いた白鳥が、じっとキキの方を見ていました。
   その白鳥は、キキを力づけるかのように大きな鳴き声をあげると海の方へと飛んでいきました。  それいらい、誰もその年老いた白鳥を見ることがありませんでした。
 キキは、サーカスのブランコ乗りに戻りましたが、やはり三回宙返りがせいいっぱいで四回宙返りは、どうしてもできませんでした。
   でも、町の人々は、まるで翼が生えたようにいっそう華麗になったキキの演技に満足して、その姿をうっとりとして見ています。  注意深くキキの姿を見ると、白い羽の髪飾りを付けています。
 キキは、この町に、そしてこの大テントに戻ってきたのです。  
 空中ブランコ乗りのキキが戻ってきたことで、人々のどよめきが、潮鳴りのように町中を揺るがして、その古い港町をふたたび活気づけました。  人々はみんな思わず涙を流しながら、辺りにいる人々と、肩をたたき合い大きくて、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手が鳴りやむことはありませんでした。

あたしの風

あの男性(ひと)がやってきたのは2学期の途中、そうです、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   教室の大きな窓から吹き込んできた風のようにあのひとはやってきました。
 転校生でした。
本当に冷たい風のようなひとでした。  でも、あたしには、その風がとても心地よかったのです。   お風呂に入った後、お散歩に出かけた時に感じる風のように。  クラブ活動を終えた帰り道に、あの丘の上で感じる風のように。  遠足で行った高原で、あたしの頬を一瞬なでる風のように。  あのひとは、遠く遠くから風と一緒にやってきました。  この田舎町よりも、ちょっと都会だったようです。  クラスメイトも、そしてあたしも、その風が教室内で吹くことにためらいがありました。
 だって、  その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 でも、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
いつもは優しいあたしのクラスメイトも、その風が教室に流れ込むことを許しませんでした。
   なぜでしょうか。
やはり、
 その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 あのひとが連れてきた風は、そのうち、すっかり弱々しい風になってしまいました。
 もう風ではなくて、教室にある普通の空気に混ざってしまい、あの香りはなくなってしまいました。  クラスメイトも、馴染めなかった新しい風が吹かなくなって安心しているようでした。
    3年生になっても、あたしはあのひとと同じクラスになれました。  もう、あのひとには、あたしの好きな風を感じることができません。
そして、その日は、突然やってきました。  やっぱり、2学期の途中、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   朝のホームルームの時間に、あのひとは教室の前に立って、みんなに別れの挨拶をしていました。  あのひとは、やってきた時とくらべると全然元気がなくて、まるで空気が抜けた風船のようにしぼんでしまったように感じました。  通り一遍のあいさつが終わりました。  その時、あたしは、あの心地よい風を肌に感じていました。  だから、あたしは立ち上がって、開けっ放しだった教室の大きな窓を急いで閉めました。
   この風は、絶対にこの教室から出したくありませんでした。
 だって、  あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
 あのひとは、そんなあたしの姿をちらっと見ると、大きなスポーツバッグを持って、ほとんど無表情で教室から出て行ってしまいました。
 あたしのことを、クラスメートが不思議そうに見ていましたけど、そんなことはかまいませんでした。  徐々に、あのひとの風が教室から消えていってしまいました。
 なぜだか説明はできないけれど、あたしは教室から出て、あのひとの後を追いかけました。  あのひとの姿はみえなくても、あのひとの後には、あの素敵な香りが残っていました。
 あのひとは、あの丘の上に立っていました。  そこには、強い風が吹いていて、あたしは今にも吹き飛ばされてしまいそうでした。   やっと、あのひとのそばにたどり着きました。  あのひとは、あたしに向かって言いました。  でも風が強くて、とぎれとぎれにしか聞こえてきません。
「ぼくの… 風はきみに… でも… ここから離れても… いつか…きみと… この風に気づいたら… いいかい?」
 あたしは、
「もちろんよ。あたしをあなたの風で包んでちょうだい。そして、一緒に連れていって。」
 こう言って、目を閉じました。  すると、風があたしの体をすっぽりと包んでいることに気がつきました。
 その時、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風にもっと長く抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみました。
 風がだんだん弱くなって、心地よい香りだけがあたしのそばに残っていました。  目を開いて見ると、あのひとはいなくて、丘の下、遠くの方で土埃が舞っているのが見えました。  それ以来、あのひとと連絡はとれていないし、どこにいるのかも分からなくなってしまいました。
 でも、あたしは時々、あの丘で風が吹くのを待っています。
 あのひとは、絶対にあたしを迎えに来てくれるはず。
 その時には、優しい風に抱かれて、そしてその風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみようと思っています。  あのひとは、それを許してくれるはずです。
   優しい風であたしを包んで、あなたの住む街に連れていって…。 

My Emotional Supports

好きな作品を集めてきました。

マイク・オールドフィールド初期の傑作
まだ見ぬ風景を見たい方へ
Incantations
Incantations

こんなコンサートはマイクにしかできません
まさしく尋常ではない盛り上がり
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン

レムといえばこの作品
その世界に身を委ねてください
ソラリス
ソラリス

筒井作品としてはマニア度が問われるものです
筒井上級者?に薦めます
脱走と追跡のサンバ
脱走と追跡のサンバ

筒井康隆 七瀬シリーズ3部作
こちらはどなたでも楽しめます 1作読むごとに感動が増していきます 人間心理・家族心理への深い洞察
家族八景 七瀬ふたたび エディプスの恋人
家族八景
七瀬ふたたび
エディプスの恋人

ディックを読むと現実世界が急に危ういものになってしまいます
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

人生で必要なことはすべてここに書いています
毎日1ページでも読みたい本
7つの習慣―成功には原則があった!
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シベリウスのシンフォニー全集 第1番から第7番までのボックスセットです
母国のオーケストラによる演奏はシベリウスへの愛情が感じられます
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