秋のドッペルゲンガー

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ブログについて

2006/10/21(土) 21:28:27

 なるほどと思わせるような記事を書いてみたいし、これは面白いっていうエピソードも書いてみたい。
 素晴らしいどんでん返しがあるショートショートを書いてみたいし、思わず涙ぐむような物語も書いてみたい。
 
 でも、惰性で生きている俺の日常には面白いエピソードもなけりゃハプニングもない。
 かとっいってブログネタにするため、わざわざなにかをやってみようとかの気力もなくなった。
シュウセツだって書いても書いても同じようなストーリーのものしかできない。

 
今日会社で仕事をしました。残業しました。帰りは仲間と居酒屋で飲みました。焼き鳥がとってもおいしかったです(^-^)ちょっと飲み過ぎたかな!?家で本を1冊読みました。とても良い本でしたよ。眠くなったので寝ますね!じゃあまた!


 こんな記事が理想だ。
 毎日毎日、延々と同じような記事を書けるっていうのはなんて幸せなことだろう。
 これこそ個人ブログの真の姿なんじゃないだろうか?
 
 エピソードもハプニングも必要ない。
 得てして、そういったものは、嬉しいものばかりじゃなくて、不幸も連れてくるもんだ。
 ショウセツだって、プロでもなんでもないんだから書きたいモノを書けばいいんだ。

 近くの国では食べ物がなくなって餓死する人がいるようだ。
 遠くの国では思想の違いで殺し合いをしているようだ。
 
 だからこそ、いつまでもいつまでも、どこを切っても同じような金太郎飴のような記事を連ねられることの幸せを忘れないようにしたい。

 
明日は仕事ですが今日はお休みでした。買ったばかりのレンズでいろんな風景を撮影してきました。自然の中で気持ちよかったです(^.^)一緒に行ったお友達と天ざる蕎麦を食べました。美味しかったです。映画も観ました。私は退屈で寝てしまいましたけどね。また撮影に行きたいと思います!今日はとても充実していた日でしたよ!それでは、またねー!
 
 
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コメント

ブログのデザイン、変わったんですねw
吸い込まれてどこかへ旅立てそうな写真ですw

少しだけ、お疲れモードでしょうか?
書きたいことを書き留める。
確かにブログは日記なのだから、それが本来の姿なのかな、とわたしも思います。
毎日書かなきゃ、なんて生真面目にがんばっていた頃がなつかしい、今日この頃のカールなのでした♪
ではでは。



URL|カール #4SIs5lHg|2006/10/22(日) 05:40 [ 編集 ]
ブログって
なんのために書いているんだろう…
って時々よくわからなくなります。
はじめからわからないで書いているんですけどね。
じゃあ、ちょっとお休み…なんて思っていると
又書きたくなってきます。

金太郎飴であり続けることっていいなと思います。
ドラえもんだってサザエさんだってそうだと思うんですよね。
結末は同じようかもしれないけれど、それで安心させられる。
ドッペルさんのブログには一貫したものが流れていて
それが魅力だと思うんですよ。
でもだからといって平坦かというとそうではなくて
繊細さもあっていろいろ工夫して訪れる人をもてなしてくれる…。

昨日ジェームスの講演会に行ってきましたよ。
ビジネスの話でしたが、お客様が望んでいるのは「気持ちの変化」と言っていました。
ドッペルさんはブログ界の有能なビジネスマンでもいらっしゃるのでは?脳を揺さぶられたり、気持ちを動かされます。ここに来ると。
サービス精神がおありだと思うんですよね。
「自分のお客様に対してうちはどういう気持ちを提供しているのかを考えてみる」そんなお話でしたがこれってブログでも言えるかもしれませんね。楽しい、おもしろい、おかしい、切ない、優雅、安心、リラックスいろんな気持ちがありますね。

日記から読み取るに、…窓を開けずに長い時間布団にくるまったままのドッペルさんが何か気持ちの変化があったかな。
自然の中で撮影…天ざる蕎麦…映画…♪
よかったですねー!充実した一日で。ポートレートも撮りました?


URL|沙羅 #-|2006/10/22(日) 14:30 [ 編集 ]
ゴメンネ!
↑又長すぎました(^^;
URL|沙羅 #-|2006/10/22(日) 14:33 [ 編集 ]
カールさんへ
デザイン変更、どなたかに指摘していただきたいと密かに思っていました;;あー良かったです。道路の写真は数枚ありますので、時々変えていく予定です。でもしばらくしたら、元に戻す予定なんですけどね。
>お疲れモードでしょうか?
うわっ、見抜かれてしまったって感じです。まあそれほど疲れるようなことは何にもしてないんですけどね。ちょっと不機嫌になったり不安になるようなことが多くなってしまい、かなりの落ち込み感がありますね…って、コメント欄で弱音を吐いている場合じゃないか!
この記事は最初、内容はほぼこの記事の流れで「平凡な記事を書いている人間が実は…」なんていうショウセツとして書こうと思ったんですが、なんか勝手な愚痴のような記事になってしまいましたね。
でもブログ本来の姿ってこんなところかななんて考えもあります。
URL|ドッペル #-|2006/10/22(日) 21:50 [ 編集 ]
長文歓迎!
>なんのため書いているのか?
っていうことに対して私はけっこう明確な答を持っています。
・読んでもらいたいため(外的)・自分自身の記録のため(内的)
もちろんそのほかの理由もありますが基本的にこの二つの単純な理由ですね。
当然自分が書きたくないことは書きませんよね。書きたいことを書いて、どなたかに読んでもらえるってのは、ブログが一番良いツールですね。
>どういう気持ちを提供しているか
うーん、これは深い言葉ですね。気持ちってのは「Feeling」の訳なのかなあ?それともmindかもしれない。英語でなんと言われたのか、ちょっと気になりますね。
この言葉はとても大きな言葉だと思います。基本理念のような。考えてみると、文章で何かを提供しているんでしょうね。
提供するっていうと、ちょっと大げさで偉そうな感じですけど、何かを発信していることに間違いはありません。
そうそう、ポートレイトはソフトフォーカスとかで、アレとかソレを目立たなくできるのでいかがでしょうか?
URL|ドッペル #-|2006/10/22(日) 22:01 [ 編集 ]

そろそろブログから「妄想」という
逃げの言葉を外してはいかがでしょうか?
URL|老婆歯科 #DSptUo96|2006/10/24(火) 11:36 [ 編集 ]
これは
確かに「逃げの言葉」ともとらえられるかもしれないが、自分の中では、「良い意味の言葉」なんだ。
妄想=想像=創造=不条理=イマジネーションって感じで。
本当になにかのオハナシを考えたり、実際に書いているときの気分を表すと「妄想」ってのが一番しっくりくる。
あれやこれや頭の中にあるイメージを具体化する作業ってのは、俺の中ではやっぱり妄想だ。
それが恋愛モノだとしてもホラーっぽいものだとしても、それを成立させるものは妄想から。
少なくとも、これは自分の中では、いたずらに卑下したりするような言葉じゃないことだけは確か。
しかし、他の人に与える印象は、やはり指摘のとおり「逃げ」ともとらえられるかもしれない。
 ・・・で、他の「キーワード」を考えたけど、どうも見あたらない。

「逃げ」ってことで考えたけど、よく創作系のブログで「ようこそ、ここは○○の書いためくるめく幻想的な小説ワールドです。どうぞ、ごゆっくりその世界をご堪能あれ」・・・なーんて口上があるけど、そういったものを俺は絶対に書けない。
これがいい悪いかどうか別にしてね。
URL|ドッペル #-|2006/10/24(火) 19:47 [ 編集 ]

でも読者は、解釈にしくい物語を読んだ後
それが作者の意図して仕上がったもなのか
結果こうなってしまったものなのかと
ブログの頭をみた時「妄想」ってかいてあったら
「ああそう」ってなるんじゃございませんこと?
「妄想」という言葉は、「建設的なコメント(批判的な意見)」を
おさえてしまうという効果もあるようですよ。

どうかしら、他の読者様方?
URL|老婆歯科 #DSptUo96|2006/10/24(火) 19:53 [ 編集 ]

私は中身が面白ければ、なんでもいいよ!
URL|佐藤さえ #-|2006/10/24(火) 21:15 [ 編集 ]
第一波は去ったのか?
まあブログ生活始まって以来の大波だな。
どうも、老婆の言いたいことが分かるようで微妙に分からないが、妄想=夢オチっていうような意味なのかな?
 いっぱしに小説もどきをブログにアップして、「これは夢オチ小説です!」っていうように「逃げ」ているように感じるのかな?これは「妄想」って言葉に対して持っているイメージにも依存すると思う。よく考えると、確かトマスハリスの「ハンニバル」の冒頭に、「この邪悪な物語はあくまでも作者の妄想から生まれた云々」ってあったのが頭に残っていたような気がする。そこから妄想って言葉を拝借したのかもしれない。(はっきり書けないのは、そんな気がするだけだから)

>さえさんへ
中身を充実させます!
URL|ドッペル #-|2006/10/24(火) 21:34 [ 編集 ]
こんばんは~。
なんか凄いですねー。
2チャンネル化したかとドキッとしました!
時系列がよくわかりませんが、お知り合いの方なのかしら。
通の楽しい語らいにも読めますねー。
素人ですからよくわかりませんが、違和感を感じたことはないので
ドッペルさんの思うようにお書きになられてくださいね。

それからジェームスは英語を話しませんでしたよ。
落語も上手でびっくりしました。
できたら、…アレとソレを完全消去でお願いしますi-228
URL|沙羅 #-|2006/10/24(火) 22:50 [ 編集 ]

甘い金太郎飴ばっかり食べてると
幸せ太りになりますよ。
そこで、お知り合いの老婆はこういうのです
「お菓子か!イタズラか!お菓子か!イタズラか!」
URL|老婆歯科 #DSptUo96|2006/10/25(水) 17:34 [ 編集 ]
こんばんは…かな?
 時系列はないというか、それを崩すところからスタート!
 しかし、この流れを分かるのはN本人と、S、S、Dくらいでしょうね。
 まあ、この他の方は、なにがなにやら分からないと思います。すみません。
 それにしても、自分の家をなんとかしてもらいたいものだ。
URL|ドッペル #-|2006/10/25(水) 21:39 [ 編集 ]

Nさんのお家を訪問してきましたよ。
テスト合格なさったんですねー!凄い。
マジでおかしな人がやってきたかと思っちゃいましたよ。
でも全部ちゃんと読んだら、ドッペルさんが水を得た魚のように
コメントが蘇っていて(失礼;;)お二人の会話に惚れ惚れi-176してしまいました。なんか懐かしい情景で、嬉しいな~。

旅してたら老婆になっちゃったんですかね。
昔の私みたいに分裂しちゃったんですかね。

甘い金太郎飴ばかり食べてると幸せ太りになるかな~。
幸せなら太ってもいいなー。
Nさんも確か金太郎飴のような人生を送ってらっしゃっていると書いてあったなー。
これで金太郎飴が2本食べられる幸せi-178
URL|沙羅 #-|2006/10/26(木) 22:20 [ 編集 ]
沙羅さん
>マジでおかしな人がやってきたかと思っちゃいましたよ。
いや、そのとおりかも。
>幸せ太り
そういえば、痩せて幸せになった人はいますけど、幸せだから痩せたって人はあまりいませんね。やはり幸せだと一般的に太るのでしょうか?
>旅してたら老婆になっちゃったんですかね。
旅のお伴にロバを連れていくキャラバン隊は見たことがありますが、旅のお伴に老婆を連れて行くってのはあまりないですね。っていうか実用性?がありませんね。
URL|ドッペル #-|2006/10/27(金) 21:40 [ 編集 ]
えと。
とりあえず、久しぶりになっちゃって(^^;)すみません。
イメージ変わりましたね!
っていうか、今回の記事も、ドッピーさんのイメージとちょっと違って、それはそれで面白かったです。ふんふん、分かるなぁって。
で、でも。その。
こんなにたくさんの討論交わされた後に、チョロンと後から来たらんららが、空気読めてないコメするのも恥ずかしいかと思ったのですが。
でも、でも。せっかく「お!テンプレ変わった!」って思ったので、その想いだけは伝えておこうかなぁって…
コメ汚し、ごめんなさい!
URL|らんらら #-|2006/10/29(日) 23:49 [ 編集 ]
干支?
 らんらら嬢、おひさしぶりっ!ぶりっ?
 いやあ、もともと空気はないようなものなんで読まなくても構いません!
 それにちょっとここのコメント欄は燃えてますしね?
 テンプレの方は、トップ画像だけですけど、ちょくちょく変えてみたいと思います。
URL|ドッペル #-|2006/10/30(月) 20:37 [ 編集 ]
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空中ブランコ乗りのキキ(創作続編)

キキは、穏やかな海の上をゆっくりと羽ばたいていました。
 潮の香りがする空気をふたつの翼で包みながら前に進みます。  四回宙返りを成功したときのお客さんの拍手がまだキキの耳に残っています。  三回宙返りを成功させたときよりも、大きく、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手でした。  キキは、そのことにとても満足していました。
キキは、自分が白鳥になってしまったことを受け入れることができました。  賞賛と拍手をもらい、そして、世界の誰にもできない四回宙返りができたのですから。
   キキは、ロープも網もない大空で宙返りをしてみました。  三回、四回、そしてそれ以上何回転でも、いとも簡単に宙返りができました。
 それはそうです。
 白鳥になってしまったキキにはふたつの翼があるからです。
 大空でいくらキキが上手に宙返りをしても、誰からも拍手をもらえません。  それが少しだけ残念に思いました。
   キキは、ある日の夜、こっそりとサーカスの大テントに戻ってしまいました。  もう2度と戻らないと決心していたのに、どうしてもピエロのロロや団長に会いたかったのです。
 キキは、開けっ放しだった大テントの窓からこっそりと中に入っていきました。  もう夜でしたから、出し物は終わっていて、大テントの中は暗くてガランとしていました。  2回ほど羽ばたいて、あの空中ブランコの踏み板までやってきました。
 キキは、もういちど四回宙返りをやってみることにしました。  自分の力を試したかったのかもしれません。  だから、ふたつの翼を使うつもりはありませんでした。  そして、あのおばあさんからもらった、澄んだ青い水の入った小瓶もありませんでした。
 キキは、くちばしを使ってブランコにつかまりました。  そして、あの時と同じように、大きくブランコを振って、真っ暗な天井の奥へ向かって飛び出していました。   キキは翼を伸ばしました。でも羽ばたきはしません。
  一回転します。
  また花が開くように翼が伸びて、抱き抱えるようにつぼんで…二回転。今度は水から跳び上がるお魚のように跳ねて…三回転。  しかし、三回転半したところで、次のブランコまでは届かないことに気づきました。
   ブランコの下には網も張っていません。  白鳥になったキキですから、羽ばたけば固い地面に落ちることはありません。  でも、キキは、けっして羽ばたこうとはしませんでした。  まるで猟銃で撃たれてしまった鳥のように頭から落ちていきます。
 キキは、同じようにブランコから落ちて亡くなってしまったお父さんのことを思っていました。
   …お父さん、わたしはもうすぐ、そっちに行くから、待っていてね。
 そのときでした。  落ちていくキキの体を誰かがつかみました。  つかんだのは、キキと同じような白鳥でしたが、ずいぶんと年をとっているようです。  キキは、その白鳥のクチバシで体を優しくくわえられて、ふわりと着地することができました。
 …ありがとう。お父さん。
 キキには分かっていました。  あの年老いた白鳥がキキのお父さんだったことを。
 キキの足下には、一本の真っ白い羽が落ちていました。  キキは、その羽を拾いあげました。  それは年老いた白鳥の羽でした。
 不思議なことに、キキの体からは羽がなくなっています。  そう、すっかり人間の体に戻っていたのです。
 近くから大きな拍手が聞こえてきます。そして、ライトが一斉について大テントの中はとても明るくなりました。   ピエロのロロと、団長がキキの近くにいて笑顔で拍手をしています。  そしてふたりは、泣き笑いをしながらキキを抱きしめました。
 キキの目からも涙があふれてきました。   涙をぬぐいキキが入ってきた大テントの窓を見上げると、年老いた白鳥が、じっとキキの方を見ていました。
   その白鳥は、キキを力づけるかのように大きな鳴き声をあげると海の方へと飛んでいきました。  それいらい、誰もその年老いた白鳥を見ることがありませんでした。
 キキは、サーカスのブランコ乗りに戻りましたが、やはり三回宙返りがせいいっぱいで四回宙返りは、どうしてもできませんでした。
   でも、町の人々は、まるで翼が生えたようにいっそう華麗になったキキの演技に満足して、その姿をうっとりとして見ています。  注意深くキキの姿を見ると、白い羽の髪飾りを付けています。
 キキは、この町に、そしてこの大テントに戻ってきたのです。  
 空中ブランコ乗りのキキが戻ってきたことで、人々のどよめきが、潮鳴りのように町中を揺るがして、その古い港町をふたたび活気づけました。  人々はみんな思わず涙を流しながら、辺りにいる人々と、肩をたたき合い大きくて、賞賛と喜び、そして驚きがこもっている拍手が鳴りやむことはありませんでした。

あたしの風

あの男性(ひと)がやってきたのは2学期の途中、そうです、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   教室の大きな窓から吹き込んできた風のようにあのひとはやってきました。
 転校生でした。
本当に冷たい風のようなひとでした。  でも、あたしには、その風がとても心地よかったのです。   お風呂に入った後、お散歩に出かけた時に感じる風のように。  クラブ活動を終えた帰り道に、あの丘の上で感じる風のように。  遠足で行った高原で、あたしの頬を一瞬なでる風のように。  あのひとは、遠く遠くから風と一緒にやってきました。  この田舎町よりも、ちょっと都会だったようです。  クラスメイトも、そしてあたしも、その風が教室内で吹くことにためらいがありました。
 だって、  その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 でも、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
いつもは優しいあたしのクラスメイトも、その風が教室に流れ込むことを許しませんでした。
   なぜでしょうか。
やはり、
 その風は、香りが違ったからです。
 その風は、ぬくもりがなくて冷たかったからです。
 その風は、少し湿っていたからです。
 あのひとが連れてきた風は、そのうち、すっかり弱々しい風になってしまいました。
 もう風ではなくて、教室にある普通の空気に混ざってしまい、あの香りはなくなってしまいました。  クラスメイトも、馴染めなかった新しい風が吹かなくなって安心しているようでした。
    3年生になっても、あたしはあのひとと同じクラスになれました。  もう、あのひとには、あたしの好きな風を感じることができません。
そして、その日は、突然やってきました。  やっぱり、2学期の途中、そろそろ秋の気配を感じる風が吹き始めるころでした。   朝のホームルームの時間に、あのひとは教室の前に立って、みんなに別れの挨拶をしていました。  あのひとは、やってきた時とくらべると全然元気がなくて、まるで空気が抜けた風船のようにしぼんでしまったように感じました。  通り一遍のあいさつが終わりました。  その時、あたしは、あの心地よい風を肌に感じていました。  だから、あたしは立ち上がって、開けっ放しだった教室の大きな窓を急いで閉めました。
   この風は、絶対にこの教室から出したくありませんでした。
 だって、  あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風に抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみたいと思っていました。
 あのひとは、そんなあたしの姿をちらっと見ると、大きなスポーツバッグを持って、ほとんど無表情で教室から出て行ってしまいました。
 あたしのことを、クラスメートが不思議そうに見ていましたけど、そんなことはかまいませんでした。  徐々に、あのひとの風が教室から消えていってしまいました。
 なぜだか説明はできないけれど、あたしは教室から出て、あのひとの後を追いかけました。  あのひとの姿はみえなくても、あのひとの後には、あの素敵な香りが残っていました。
 あのひとは、あの丘の上に立っていました。  そこには、強い風が吹いていて、あたしは今にも吹き飛ばされてしまいそうでした。   やっと、あのひとのそばにたどり着きました。  あのひとは、あたしに向かって言いました。  でも風が強くて、とぎれとぎれにしか聞こえてきません。
「ぼくの… 風はきみに… でも… ここから離れても… いつか…きみと… この風に気づいたら… いいかい?」
 あたしは、
「もちろんよ。あたしをあなたの風で包んでちょうだい。そして、一緒に連れていって。」
 こう言って、目を閉じました。  すると、風があたしの体をすっぽりと包んでいることに気がつきました。
 その時、
 あたしは、その風に優しさを感じていました。
 あたしは、その風にもっと長く抱かれてみたいと思っていました。
 あたしは、その風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみました。
 風がだんだん弱くなって、心地よい香りだけがあたしのそばに残っていました。  目を開いて見ると、あのひとはいなくて、丘の下、遠くの方で土埃が舞っているのが見えました。  それ以来、あのひとと連絡はとれていないし、どこにいるのかも分からなくなってしまいました。
 でも、あたしは時々、あの丘で風が吹くのを待っています。
 あのひとは、絶対にあたしを迎えに来てくれるはず。
 その時には、優しい風に抱かれて、そしてその風を思い切り吸い込んであたしの中に入れてみようと思っています。  あのひとは、それを許してくれるはずです。
   優しい風であたしを包んで、あなたの住む街に連れていって…。 

My Emotional Supports

好きな作品を集めてきました。

マイク・オールドフィールド初期の傑作
まだ見ぬ風景を見たい方へ
Incantations
Incantations

こんなコンサートはマイクにしかできません
まさしく尋常ではない盛り上がり
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン
アート・イン・ヘヴン・コンサート ザ・ミレニアム・ベル-ライヴ・イン・ベルリン

レムといえばこの作品
その世界に身を委ねてください
ソラリス
ソラリス

筒井作品としてはマニア度が問われるものです
筒井上級者?に薦めます
脱走と追跡のサンバ
脱走と追跡のサンバ

筒井康隆 七瀬シリーズ3部作
こちらはどなたでも楽しめます 1作読むごとに感動が増していきます 人間心理・家族心理への深い洞察
家族八景 七瀬ふたたび エディプスの恋人
家族八景
七瀬ふたたび
エディプスの恋人

ディックを読むと現実世界が急に危ういものになってしまいます
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
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人生で必要なことはすべてここに書いています
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